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バングラデシュ 世界のリサイクル工場

2012年1月12日

バングラデシュ 世界のリサイクル工場  小気味良い再生社会

1月12日

2012年の正月は日本でつかの間のひとときを過ごす事ができた。

ところは変わってバングラデシュダッカでの生活に戻った今、なんとなく感じる

違和感に自分でも驚いている。


実は私の会社㈱わんピースはバングラデシュの中規模協力工場に生産してもらった

製品を日本に輸入して各お得意様に販売すると言う方式で当地での

事業を進めている。

現地に工場進出をして慣れない国で発生するであろうのリスクを最小限に抑えると言う我が社

社長の判断により、この様な形式を採っている訳だが

その協力工場の1社を訪問する際、毎度と言って良い程よく見かける光景が有る。

それは、協力工場の向いに有る廃品回収と解体作業の風景である。

工場を訪問した時には、毎回目にしているその光景なのに、なぜか正月明け

日本から帰還して最初に目にした時にいつもと違う印象を受けている。


その解体工場は、小さな間口1軒半くらいの工場で、道端に大きくはみ出しながら

作業員4人くらいで営んでいる。

日本の清潔な工場風景に慣れている人から見れば、この工場自体が

すでに廃品解体に値する様な汚い工場なのである。

 

しかしこの工場で行なっている作業はその汚さを忘れさせるくらいに実に徹底した

解体ぶりだった。

この工場ではポンコツと成った、冷蔵庫やテレビや、クーラーなどのあらゆる

電気製品をすでに錆び付いたネジ一本、コイルを始め部品の一部に使用されている

ポリエチレンにいたるまで、すべてを手作業で金槌とタガネを使って

丁寧に解体、分別をしている

金属部品なども、鋳造品、銅、鉄、アルミなどに分解しながら丹念に分別する

その完璧なまでの作業は、これらの物が又、次の生産品の部品の一部として

再生利用される事を教えてくれる。

まるで魚好きな人が煮魚屋や焼き魚をすべて無駄なく食べ尽くす時の様な、もしくは

その製品の製造過程をすべて完璧に逆辿りする時の様なある種の小気味よさを

感じさせてくれる。


バングラデシュにいる時はいつも見慣れているこの光景になぜ自分が

いつもと違う感覚を持ってしまったのか、帰還してしばらく経った今漸く理解出来た。

 

それは、日本に帰国して、わが町のあちこちで見かけた年末の粗大ごみ

回収の風景が何となく私の頭の中に残像として残っていいたからだと思われる。

 

日本においては、型が古くなったり、少し傷んだり、汚れてしまうと、あまり裕福では

ない家庭でも、平気で捨ててしまうその光景とは一変して、私が協力工場の前で

目にするこの解体分別光景が、あまりにも両極をなしているからである。

 

世界の最貧国と言われているバングラデシュ ダッカの街には、一日2ドルでも

生活する事が出来ない最下層の人々に溢れている。

ある人は体に障害を持っている為に満足に二足歩行出来ず、一日中路側帯

をよつばいをしながら布施を求め歩いていたり、或女性は生まれた赤ん坊に

乳をあげる事が出来ず交通渋滞の車の間をすり抜けるようにして排気ガスに

喘ぎながらも布施を求め歩いている。

 

以前あるテレビコマーシャルで《私食べる人、あたなた作る人》と言うフレーズが

年間大賞を取った事が有るが、目の前の光景はまさに

《私使う人、あなた解体再利用する人》と言っても良いくらいの日本とは真逆の

世界なのである。

 

世界全体が食糧危機やエネルギー危機に遭遇している今

裕福な日本や日本人は今のままで良いのだろうか?  と

心の中の正月の残像が私に警告を発しているような気がする。

 

㈱わんピース   プロダクトマネージャー  小山

 

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